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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
「夕刊大阪新聞」1934(昭和9)年8月7日~12月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 页
「…………」
「嘆願をした宥免状で」
「…………」
「いたいけな文字で憐れっぽく、縷々として書いてありましたよ」
「…………」
「あれを見ましたら南海の龍、英雄紀州頼宣卿も、即座に捕えた義党の同志を、宥免するでござりましょうよ」
「…………」
「そこで拙者思いましたよ。……菊女殿が拙者と一緒になり、このように旅をしている間中、あの人形箱に絶えず留意し、ともすれば接近しようとするのは、あの宥免状を手に入れたいためだと」
「…………」
「それにもう一つ拙者によって、いわばほとんど手ごめのようにされて、いわばほとんど捕虜にされて、このようなところへまで連れて参られても、大して怨むような様子もなく、時には機嫌さえおとりになるのは、そうやって拙者に油断させ、宥免状を取りたいためだと」
「…………」
「それにいたしても義党の一人で、しかも女丈夫で聡明でもあるあなたが、すでに宥免状が拙者の手により、発見されたという事に、今日までお気づきなかったとは、少し不思議でございますなあ」
「…………」
「菊女殿そうではござらぬか、一対の女男の雛の一つの、胸のあたりに隠し所があって、そこにあのような黄金島に関する、すばらしい文書が蔵してあったとすれば、もう一つの雛の胸の中にも、同じような隠し所が作られてあって、秘密の文書が蔵してあるかもしれぬと、そう考え