轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
02 中巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 194,628 字 · 371 页
二十二
彼女が船室へ戻って見ると、別れの言葉を交しながら夫人も泣き、母も泣いていた。そして間もなく、彼女達は合図の鉦の音に追い立てられて下船した。
船が埠頭を離れると、
「まあ、綺麗な。百貨店が動き出した見たい、―――」
と、妙子が、海岸の夜の秋風に白いブラウスの肩を縮めながら云った。それから可なり長い間、甲板に立っている夫人達の姿がイルミネーションの光の中に浮き出て、小さくなりながら見えていたが、しまいに誰が誰やら見分けが付かないようになっても、まだ、
「エツコさあん、―――」
と、根気よく呼びつづけるローゼマリーの細い甲高い声が、暗い海の上を伝って聞えた。
二十二
一九三八年九月三十日、マニラに於いて
親愛なる蒔岡御令閨様
今月は日本は颱風の多い月なので、私はあなた方のことを一心にお案じ申しております。私はあなた方が、過去数箇月間に既に沢山の災害にお遇いになったので、これ以上そんな目にお遇いにならないように望んでおります。もうあの岩石や土砂の山々も、国道や蘆屋附近からすっかり取り除かれましたでしょうね。そして交通も再び常態に復し、人々も再び生活を楽しんでいるでございましょうね。