轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

02 中巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 194,628 字 · 371 页

青空文庫

にも拘らず、院長は病人がそうなってから、手術の痕はきれいに直って来ている、と云うだけで取り合ってくれない。午前中に一回、ガーゼを詰め変えに来ると急いで出て行ってしまって、今日でまる二日と云うもの、こんなに苦しがる病人を放ったらかしたままなのであるが、看護婦などは、この手術は院長先生の失敗です、ほんとうにお気の毒ですと云っている。妹は板倉の容態が悪化してから、田中の家に鍵をかけてずっと附き切っていたのだけれども、こうなると誰か相談相手が欲しく、万一のことがあっては自分の責任でもあると思い、至急妙子に帰って来て貰うより外にないと考えて、兎も角も蘆屋へ電話を懸けた(何処か病院以外の所から懸けているらしかった)と云う訳で、わたくし、勝手にこんな電話を懸けて、後で兄に叱られるかも知れませんけれどもと、電話口で泣き声を出しているのであった。雪子が例の、先方にばかりしゃべらせて、唯はあはあと受け答えしたであろうことは想像に難くないのであるが、それでも妙子から聞いているところでは、田舎育ちの、まだ都会馴れない二十一二の娘だと云うその妹が、兄の身を案じるあまり非常な決断と勇気を以て懸けて来た電話であることは、その息づかいと語調に依っても察しられたので、承知しました、直ぐ東京へ云ってやりますと云って、早速彼女はあの処置を取っ