轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
02 中巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 194,628 字 · 371 页
(後に分ったことであるが、その時の水は濃厚な泥水で、大部分が土砂であったので、却って物を固着させる作用をした。水が退いてから見ると、テーブルだの椅子だのと云うものが、土砂に埋まって一つ所に動かなくなっていた。家なども内部に一杯土砂が詰まったために流失や倒潰を免れたのが多かった)部屋の外へ逃げると云う方法も考えないではなかったし、窓枠を破ることぐらいは出来たかも知れないけれども、妙子が窓の外を窺うと、(そこは上げ下げになった窓で、さっき雨が降り込むので上の方一二寸を残して締めたのであった)外部も室内と同じくらいの水位になっており、且室内の水は次第に沼のように澱んで来るのに反し、ガラス一枚外は非常な激流が流れていた。そして、窓から四五尺離れたところに西日を防ぐための藤棚がある外には、その辺は芝生になっていて、高い樹も建物もない。もし窓の外へ跳び出して、何とかして藤棚まで泳ぎ着くことが出来、その棚の上へ攀じ登ることが出来れば締めたものであるが、棚に達する迄の間に押し流されてしまうことは明かであった。弘少年は、ピアノの上に突っ立って手を伸ばして天井を撫で廻していたが、確かに、天井を破って屋根の上へ出ることが出来れば、それがこの際一番よい方法に違いないけれども、少年や女たちの力では如何ともしようがなかった。