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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
01 上巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 150,580 字 · 287 页
を変えて、一週間でええのんやったら、十五日はどうか知らん、と云い出した。そして云うのには、今朝速達便を受け取ったので、此処を訪問するまでに先方と打ち合せを遂げて来たのであるが、今月は十八日から二十四日までがお彼岸なので、その間を避けるとなると、八日以後では十五日より外に適当な日がない、もし十五日が駄目であると、後は来月になってしまうが、今からちょうど一週間あることだからなるべく十五日にして貰えないであろうか、実は浜田さんからもそうお願いするように頼まれたのであるが、と云うので、幸子はこの上我が儘を云う訳にも行かず、まあ、医者もああ云っていることだから、少しぐらいの無理を押しても出られないことはあるまいと思って、夫に相談する迄もなく、大体承諾の旨を答えて帰したのであった。
ところが、その後経過は順調に進んでいたものの、十四日になってもまだ時々少量の出血を見、臥たり起きたりしていると云う程度であった。貞之助は初めから、
「そんな約束してしもて大丈夫かいなあ」
と、危ぶんでいたのであるが、そうなってみると、大切な席で粗相があってはならないし、幸い陣場夫婦だけはほんとうの事情を知っていることでもあるから、陣場にまでよく訳を話して、幸子は欠席することにし、貞之助が一人雪子に附き添って行くと云う方法も考えられた。