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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

01 上巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 150,580 字 · 287 页

青空文庫

十三

「これ着けなさい」

と、渡してやったことがあったが、端からそのくらいに仕向けても、当人はあまり感じないらしかった。

十三

「そんなら、あんたどない云やはった」

「ありのままのこと、正直に云うといた。―――いつもあんなに出ているのやないし、何も心配なものやないことは、こうこう云う雑誌にも書いてあったし、外の雑誌でも読んだことがある云うて。そんで僕考えたのんは、どうせレントゲン撮るついでやさかい、矢張阪大へ行って、皮膚科の人に診てもろて、果して雑誌に書いてある通り直るもんかどうか確かめること、―――もう問題になったのんやったら、それだけのことはせんならん思うたよってに、それも僕からそうするように勧めてみます云うてん」

月のうちの大部分を分家の方へ来て暮している雪子であるから、本家の兄夫婦が気が付かないのは当然だとすると、今迄それを知りながら放って置いたのは自分の手ぬかりであったように貞之助は感じたが、何を云うにも最近に始まったことなので、これ迄の見合いには一度も問題になったことがなかったのであるし、それに、貞之助としては、幸子の時に案じる程のこともなく直った事実を見ているために軽く考えていたせいもあった。