轻松读懂日语经典作品
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
01 上巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 150,580 字 · 287 页
でも、そんなような質問からぽつぽつ話がほごれ出して、仕事と云うのは兵庫県下の鮎の増産に関する指導、視察等が主であること、県内では何処の鮎が美味であるかと云うこと、竜野や滝野の鮎のこと、等々が語られて行った。陣場夫人はその間に、
「ちょっと、………」
と、幸子を物蔭へ引っ張って行って立ち話をし、野村の傍へ戻って来て耳打ちをし合い、電話室へ走って行き、又もう一度幸子を呼び立てるなど、何かと奔走していたが、夫人が席に復してしまうと、今度は幸子が、
「ちょっと」
と云って、貞之助を呼んで立って行った。
「何やねん」
「あのなあ、会場のことやねんけど、あんた、山手の北京楼云う支那料理屋知ってなさる?」
「いや、知らん」
「野村さんいつもそこへ行かはるのんで、そこにしてほしい云やはるねんて。そんでなあ、支那料理でも構めへんけど、今日はあたし、椅子やったら工合悪いよってに、日本座敷にしてほしい云うてんわ。そんなら、そこは支那人のやってる支那料理やねんけど、日本間も一つか二つある云うのんで、今陣場さんが電話で日本間予約してくれはりましてん。それでよろしいやろなあ?」
「お前さえよかったら、僕は何処でもええけど、………お前、そないに立ったり居たりせんと、少しじっとしてなさい」