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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页
「はあ」
「勇は逆徳なり。兵は狂器なり。軽々しく用いてはなりませんぞ」
と安斉先生はダンダンむずかしくなる。
翌朝学校へゆくと、皆が正三君の周囲に集まった。
「どうだい? きみ」
「もうなんともない」
と正三君は口ばたをおさえた。そこへ高谷君がはいってきた。
「どうだい? きみ」
とまた皆がとりまく。二人とも大変な人気だ。つぎに堀口生がノッソリとあらわれた。今度はだれもよりつかない。しかし堀口生は自分の方から進みよって、
「内藤君、高谷君、昨日は失敬した。それから皆、今までは僕がわるかった。堪忍してくれたまえ」
といった。後悔したものの、一時的だろうと思っていたから、これは案外だったので、
「僕こそ」
「もう仲よくしよう」
と高谷君と内藤君も覚えず進み出た。堀口生はおじぎをした。高谷君と内藤君もおじぎをした。見ていた連中は手をたたいた。ひやかしたのではない。感心したのだった。
まもなく鐘が鳴った。第一時間は数学だった。橋本先生は出席点呼をおわったが、授業を始めずに、教室を睨みまわした。一番こわい先生だ。生徒たちはもう察した。あの喧嘩があのきびしい級担任に知れないでいるはずはない。