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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页
やむにやまれぬ
「それでは諸君、運動場へ出て元気に駈けまわる」
といった時、皆立ちあがった。
「内藤君、待ちたまえ」
と高谷君はもう正三君のそばへきていて、
「さっきの無線電信はなんだい?」
ときいた。
「喧嘩さ」
「そうだろうと思っていた。やろうっていうのかい?」
「うむ」
と正三君は小使い部屋の裏へでかける決心を話した。
「やるのか?」
「やる」
「やれ。手つだう」
「僕も手つだう」
と細井君も寄りそっていた。
「よしたまえ。喧嘩はよしたまえ」
と級長の松村君が止めた。
「なんだい? 今さら」
「級ぜんたいのためだ」
と高谷君と細井君がふんがいした。
「僕は級長として一ぺんは止めるよ」
「松村君、きみに迷惑はかけない。きみが止めたけれどもやったって僕は後からいうよ」
と正三君は級長としての松村君の立場に同情した。
「なあに、一ぺん止めればいいのさ」
「しかしやるよ」
「ぜひやりたまえ。僕も手つだう」
と松村君も大いに話せる。
「照彦様、僕イヨイヨやります」
と正三君は許可を求めた。
「僕もやる」
「若様はいけません」
「いや、僕が元だ。やるとも」
と照彦様は仲間があると強くなる。
堀口生は子分をしたがえて、廊下に待っていた。