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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页

青空文庫

「照常様はどうだい? いつかお前の首をしめたっていったじゃないか?」

「この頃は僕をかわいがって柔道の手なんか教えてくれます。冬休みには鉄砲を打ちにつれて行ってくださる約束です」

「それは好い塩梅だ。学校の方は?」

「大勢友達が出来ました。優等生が三人お屋敷へ遊びに来ます」

「その悪い奴はどうしたい? お前のことを家来だの何だのっていう奴は?」

「兄さん、到頭やったんですよ」

「喧嘩をかい?」

「はあ。口がこんなに腫れました」

「負けたのかい?」

「勝ったんです」と正三君は経緯を詳しく物語って、

「もう内藤正三位なんて言う奴は一人もありません。皆僕を怖がっているくらいです」

と肩をいからせて見せた。得意もあったが、兄さんを安心させるためもあった。

「それはよかった。ときには腕力も必要だ。紳士ばかりはいないからね」

「しかし堀口って奴はほんとうに後悔しましたよ。僕たちにヘイヘイしてかわいそうなくらいです」

「さんざんお前をいじめた罰さ」

「僕はとても勝てないと思いましたが、まったく高谷君や細井君のおかげです」

「おれからよろしくいってくれ」

「はあ」

「ようやく安心した」

「けれども兄さん、一つ困ることがあります」