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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页
三番も二十五点です。さあ、ドンドンやりましょう」
と正三君はもう遠慮をしない。ひきずるようにして準備をさせる。
数学の試験がすんだ時、照彦様は、
「内藤君、三題半できたよ」
と大喜びだった。先に運動場へ出て待っていた正三君は一々吟味して、
「お書きになっただけ皆できています。七十点取れたでしょう」
と判定した。
「ありがたい」
「五番は一番やさしいのですが、いけませんでしたか?」
「書かなかった」
「おやおや」
「あれはやればできたんだけれど、四番でてまをとっている中に時間がなくなってしまった」
「できるのから先にやる方がいいです」
「そうだったね」
と照彦様は今さらくやしがったが、はげみがついて、
「明日はできるのからやるぞ」
とりきみかえった。
「英語はお得意ですから、八十点以上は取れましょう」
「ぜんたい山をかける」
「早く帰ってそういたしましょう」
と正三君は如才ない。
こんな調子で一週間続きの試験がおわって冬休みになった。成績は学校から郵便で通知してくる。照彦様はそれが待ち遠しかった。いつもは成績のことをいうとごきげんをわるくするのだが、今回は十分勉強したから期待がある。