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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页

青空文庫

正三君はバットをかついで照彦様の後を追った。

安斉先生は学監室の入り口に迎えて、

「若様、ご成績がまいりました。ご勉強のかいがございました」

とニコニコした。

「何番ですか?」

「二十番でございます。十五番お上がりになりました」

「どれ」

と照彦様は成績表を受け取って見入った。

「先生」

と内藤君は安心するとともに自分のが気になった。

「あなたはむろんよろしい。一番です」

と安斉先生は成績表を渡した。

「内藤万歳!」

と照彦様は正三君の首にかじりついた。

「若様万歳!」

と正三君も照彦様を抱きしめた。

「結構でございました」

と安斉先生は目に涙をためて、

「照彦様」

「はあ」

「内藤君」

「はあ」

「ハッハハハハ」

といかにも嬉しそうだった。

「僕はこんなに上がるとは思わなかった」

と照彦様はまた成績表を見つめた。

「ご勉強をなさいましたからな」

と正三君も満足だった。

「きみはひどいんだもの」

「ハッハハハハ」

「照彦様」

と安斉先生が呼んだ。

「はあ」

「もし若様がお上がりにならないようなら、内藤君はお家へ帰る覚悟でした」

「僕にもそういっておどかしたんです」

「万一若様がお上がりにならないようなら、私も覚悟がありました。