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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页

青空文庫

これはいかがなものでしょうかな?」

「結構でございましょう」

と一同賛成した。必要だとおっしゃる以上、反対はできない。

「私たちの若い頃は墓地へいってやったものです。子供ながら一刀をさしはさんで、妖怪変化出てきたらば斬り捨てんという意気ごみでした」

「あれは実際胆力がすわります」

と黒須さんは遅参の申しわけに調子をあわせた。

「あなたもおやりでしたか?」

「郷里で度々やりました」

「今晩は陰暦十一月十六日、夜の十時には月高くお裏山の公孫樹にかかって、老梟寒飢に鳴く。一陣の疾風雑木林をわたって、颯々の声あり。ちょうど手頃でございますぞ」

「ははあ、裏のお山で」

「お山の稲荷神社を目的として、若様がたが代わる代わるなにか印の品をおいてまいることに計らいましょう」

「本式ですな」

「ついては黒須君」

「はあ」

「私はあなたのおいでを待っていたのです」

「ははあ」

「一つ大入道にばけて若様がたを驚かしてくださいませんか? その五分刈りがまことに結構です」

「悪い役を仰せつかりますな」

「多少変装をなすって、祠のあたりを徘徊していただきます」

「あすこはちょっと具合がわるいです。昼さえだれも寄りつきません」