轻松读懂日语经典作品
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页
一家団欒
ことに第一日の晩は、
「正三」
「正三や」
「正ちゃん、正ちゃん」
と皆にとりまかれて、家庭の中心になった。
「正三正ちゃんて、まるで正三を売りに来たようだね」
と笑った祐助兄さんも、
「おい、正三」
とすぐその後からいって、
「それごらんなさい。兄さんだって」
と妹たち、すなわち正三君の姉さんたちに笑われた。
「正三や、お前なにかほしいものはないかい?」
とお父さんがきいた。
「ありません」
「学校道具でも買ってやろうか?」
「いいです」
「なにか買ってやりたいんだが、考えてごらん」
「なにもありません」
「なにかあるだろう?」
「ほんとうになにもないんです」
と正三君は首をふるばかりだった。
「あなた、それはあなたがごむりですわ」
とお母さんが口を出した。
「正三、なにか考えてみろ」
とお父さんは買ってやりたい一心だった。
「わからない人ね、あなたも」
「なぜ?」
「おやしきで若様と同じにしてくださるんですもの、なんの不足があるものですか」
とお母さんはお父さんの心得違いをさとした。
「いいわね、正ちゃんは」
と君子姉さんが羨ましがる。
「正ちゃん、なんでも若様と同じ?」
と貴子姉さんは感きわまったような声だった。