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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页

青空文庫

がんばれがんばれ

内藤君はほうとうに心配してくれる。家へ帰っていても夢にやってくる。僕は内藤正三を兄さんと思えばいいんだ。

がんばれがんばれ

学校がはじまって、照彦様と正三君はまた忙しくなった。もっとも他の若様がたも同様である。安斉先生が相かわらずきびしいから、予習と自習で夜分はほとんど暇がない。それに当分の間柔道の寒稽古がある。これは早朝未明からだから苦しい。

「いやになってしまうなあ」

と照彦様は不平を鳴らしはじめた。

「なんでございますか?」

と正三君がきいた。もうソロソロぐずをおっしゃる時分と覚悟していたのである。

「僕のところは正月でもおもしろいことがちっともない」

「新年会がおもしろかったございませんか?」

「あれっきりさ」

「活動へもつれていっていただきました」

「あれはあたりまえだよ。学校の友だちは月に二度ぐらいいっている。僕たちは年に一度じゃないか?」

「カルタ会もありました」

「正月はどこにだってある。あんなものは女に負かされるからつまらない」

「柔道を毎朝習っています」

「あれは勉強だよ。遊びのたしにならない」

「まだなにかありました」

「あるものか。僕のところはだめだよ、正月でもふだんと同じことだ」