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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页

青空文庫

「怖いものか」

「それじゃいけ」

「いくとも」

と照彦様は歩きだした。

「よし。ついていって見てやる」

「勝手にしたまえ」

「逃げるんだろう?」

「大丈夫だ」

「さあ、いこう」

と尾沢生が先に立った。照彦様はもうのっぴきならない。

「花岡、しっかり! えらいぞえらいぞ!」

と横田篠崎の両名がおだてあげた。

小使い部屋に近づいた時、尾沢生はたち止まって、

「きみ、安心していってきたまえ。僕、ここで番をしていてやる」

と味方の態度をとった。

「いくつ持ってこようか?」

「取れるだけさ。たくさん取るほど度胸がいいんだ」

「よし」

と照彦様は小使い部屋の物置きへ忍びこんだ。そのせつな、尾沢生は、

「関のばかやろうやあい!」

と叫んで、いちもくさんに逃げだした。関さんは小使い部屋から姿をあらわすと、すぐに物置きへまわった。照彦様が足音をききつけて出ようとしたとき、

「どっこい」

と外から戸をしめて鍵をかってしまった。

改心入道の働き

尾沢生は教室へ帰ってきて、

「ハッハハハハ」

と笑いながら、教壇の机につかまった。

「どうした?」

「うまくやったか?」

と待っていた篠崎横田の両名がストーヴからはなれた。