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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页
「きたない学校だろう?」
と照彦様は門に着いた時、正三君をかえりみた。
「けっこうですよ」
「僕たちの教室は新しい」
「ナカナカ広いですね」
と正三君は運動場を見まわした。
教室には同級生が半数以上そろっていた。長い休暇の後ふたたび顔を合わせてみんなうれしそうだった。その中の五、六名が、
「やあ、花岡さん」
と呼びながら寄ってきた。照彦様は、
「お早う。これはね、今度はいった僕の友達だ。内藤正三といって秀才だよ」
と早速正三君を紹介した。正三君は赤くなって頭を下げた。
「きみのところの家来だろう?」
と一人がきいた。照彦様はそれに答えずに、
「府立からきたんでとても秀才だ。僕とは違う」
といって、正三君を教員室へつれていった。安斉さんから校長先生へ添書を持ってきたのである。校長さんは家来でない。しかし家来のところへお嫁にきている人の伯母さんのご主人だから、つまり、家来の伯父さんだ。まったく関係のないこともない。正三君はこの校長さんと級担任の橋本先生にお目にかかった。
まもなく始業式が始まった。照彦様は正三君とならんで席について、
「きみ、きたない講堂だろう」
とささやいた。