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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,732 字 · 332 页

青空文庫

小さな胸のなやみ

と照正様がたしなめた。二人は英語の予習を受ける番だったので、矢島先生の机へ進んだ。

小さな胸のなやみ

「照彦様、いかがでした?」

と正三君がきいた

「知らん」

「照彦様」

「知らん。そんな失敬な奴は知らん」

とにらみつけて、照彦様は運動場をスタスタ歩き出した。

それは算術の平常試験がすんだ後だった。照彦様と正三君は机がならんでいる。最初の中、照彦様は首をのばして正三君の答案を見ようとした。ついで、

「おい、内藤、二番を教えてくれ。三番も四番もできない」

とささやいた。しかし内藤君はいかに君命でもこういう不正なことには応じなかったのである。

「内藤正三位!」

と帰りには照彦様の方から呼びかけた。

「…………」

「あんまりだぞ」

「…………」

「よくも僕をだましたな。きみは僕の成績をわるくして自分ひとりほめられたいんだろう?」

「照彦様、とんでもないことをおっしゃいますな」

と正三君はようやく口をきいた。

「いや、きみは僕にこの間から自力自力っていっていた。平常試験を自力で受けさせて落第にするつもりだったんだ。僕は一題しかできなかったぞ」

「もっと勉強なさればもう一題できています」