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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
小山清『落穂拾い・犬の生活』。同一底本的分册已合并为一书。收入:落穂拾い、犬の生活、夕張の宿、生い立ちの記、桜林、西隣塾記、聖アンデルセン、前途なお、早春、その人、遁走、朴歯の下駄、安い頭、わが師への書、メフィスト。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 页
これではならぬ。またもや鬼の面を被らねばなるまい。
「※(「飮のへん+稻のつくり」、第4水準2-92-68)パンに対する渇仰もさることながら、僕はいま無性に恋愛をしたくなってきた。誰かその道の大家に手ほどきでも頼みたい気持だ。それも大派手なやつをやりたいのだ。例えば才貌共に並びなき名女優と、一世一代とでもいうべき濡れ場を演じてね、派手な浮名を後世にまで流したい気持だ。それに僕には昔からへんな定評みたいなものがあってね、太宰は恋愛小説は駄目だ、不良少年を描いていりゃいいって云うんだ。失敬じゃないか、人を馬鹿にしているよ。まるで僕を不良少年の親玉か問屋の如きものに思っているんだ。だから僕としては大いにその非を正したい気持もあって、僕にも天下の子女の紅涙をしぼる手腕のあることを、事実に於て示してやりたいんだ。一つは齢不惑に近くなってきたので、あせってきたのかも知れない。」
「中年の恋ですか?」
「そう、中年の恋、」と呟いて、とたんに私は噴き出してしまった。太宰さんの上顎が総入歯なのを思い出したからである。
「あら、いやですわ。なにがそんなに可笑しいのです?」
「いや、」