轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

くものゆめ

蜘蛛の夢

岡本 綺堂

岡本綺堂『蜘蛛の夢』。同一底本的分册已合并为一书。收入:蜘蛛の夢、穴、有喜世新聞の話、恨みの蠑螺、火薬庫、真鬼偽鬼、慈悲心鳥、女侠伝、廿九日の牡丹餅、放し鰻、馬妖記、平造とお鶴。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 147,189 字 · 298 页

青空文庫

」

「いよいよ当ったのかえ。」と、おやじは小声で訊きかえした。

平吉は無言で指一本出してみせると、おやじは眼を丸くして笑った。

「そりゃ結構だ。おめでたい、おめでたい。だが、日が暮れかかったので鰻はもう奥へ片付けてしまった。いっそあしたにしてくれないか。」

「ああ、いいとも……。代だけ渡しておいて、あしたまた来る。」

言いながら彼は一分金三つをつかんで渡すと、おやじはびっくりしたように透かしてみた。

「こんなに貰っちゃ済まないな。だが、まあ、折角のお福分けだ。ありがたく頂戴しておこう。どうぞあした来てください。放しうなぎの惣仕舞は近頃お前ばかりだ。」

礼やらお世辞やらをうしろに聞きながら、平吉はまた急ぎ足で自分の家へ帰った。彼は今になってまだ午飯を食わないことを初めて思い出したが、これから支度をするのも面倒なのと、ふところには今までに持ったことのない二両あまりの金がまだ残っているのとで、かれはまたあたふたと駈け出して町内のうなぎ屋へ行った。一方に放しうなぎをしていながら、一方には久し振りに蒲焼を食おうと思い立ったのである。近所で顔を見識っていながらも、ついぞ二階へ上がったこともない平吉を不思議そうに案内して来た女中にむかって、彼は小あらいところを二皿ばかり焼いてくれと注文した。