轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

おうごんかめん

黄金仮面

江戸川 乱歩

作者――江戸川乱歩氏曰く「キング」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年8月号<br>黄金仮面「キング」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年9月~1931(昭和6)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 143,357 字 · 287 页

青空文庫

ノッブに手をかけて躊躇した。

コツ、コツ、コツ、……まだ歩き廻っている人の足音、確かにこの部屋だ。

闘争を予期する猛獣のため息。

サッと開かれる扉。

黄金仮面は一歩敷居の中へ踏み込むと、仮面の細い目で、部屋中を見廻した。

ガラス窓を通して、洪水の様に、部屋にあふれる月の光。その青白い月光をあびて、片隅に立ちはだかっていたものは、……流石の怪賊黄金仮面も、ギョッとして、立ちすくんでしまった。

この部屋にはそんな大きな鏡はなかった筈だ。それにも拘らず、黄金仮面自身の影が、そこに映っている。

イヤイヤ、影ではない、もう一人の黄金仮面が、突如として、月光と共にこの部屋に降って湧いたのだ。

アア、何という美しくも異様なる光景であったか。寸分違わぬ扮装の、二人の黄金仮面は、互に相下らず、肩を張り拳を握って、睨み合った。皮肉に笑う二つの三日月型の口、不気味に無表情な二つの金色の顔、それが月の光にキラキラと輝いているのだ。

読者は已に想像されたであろう。そこに立っていたもう一人の黄金仮面は、我等の素人探偵明智小五郎の扮装姿に外ならぬのであった。

血を啜り肉を啖ってもあきたらぬ、仇敵と仇敵、正義の巨人と邪悪の怪人とは、思いもかけず、この美しき月光の部屋に相対したのである。