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こくびゃくストーリー

黒白ストーリー

杉山 萠円

「黒白」1925(大正14)年5月号~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,356 字 · 42 页

青空文庫

――7――

光明か暗黒か

――1――

警官は三平の顔に懐中電燈をつき付けた。

何だ……最前の気狂いじゃないか……

三平は腕まくりをした。奮然と詰め寄った。

何が気違いだ……憚んながら……

親方が三平を遮って警官にお辞儀をした。

若い者が警官に男を引き渡した。

警官は男に手錠をかけて短刀と煉瓦を拾った。親方と娘と三平を連れて警察に帰った。

――7――

警察に駈け込んで来た質屋の親仁の禿頭は娘の顔を見ると泣いて喜んだ。手錠をかけられた男を見ると掴みかかろうとした。

親方は遮り止めて事情を話した。

禿頭は三平を伏し拝んだ。娘を三平の前に連れて来て礼を云わせた。

娘はチョッと色眼を使って三平の前に三ツ指を突いた。

三平は変梃な身ぶりで礼を返した。

親方と警官は腮を撫でた。

手錠をかけられた男は恐ろしく面を膨らした。

光明か暗黒か

――1――

眼科の開業医丸山養策は数年前妻を喪ってから独身で暮して、一人娘の音絵にあらゆる愛を注いだ。

音絵は当年十九歳で女学校を優等の成績で卒業し、女一通りの事は何くれとなくたしなんでいたが、わけても箏曲を死ぬ程好いていた。

音絵の琴の師匠は歌寿と呼ぶ瞽女の独り者であった。