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こくびゃくストーリー
黒白ストーリー
杉山 萠円
「黒白」1925(大正14)年5月号~9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,356 字 · 42 页
――6――
三平は布団から顔を出して見まわした。仲間は皆寝静まっている。
三平は起き上って帯を締め直した。押入から鳶口を持ち出しかけたが又仕舞い込んだ。腕を組んで考えたがポンと手を打ち合わせた。ソロリソロリと二階を降りた。
三平はあたりを見まわし見まわし足音を忍ばして茶の間に忍び込んだ。箪笥の抽出しを開いてお神さんの着物を盗み出した。それから湯殿へ行って電気をひねった。
三平は鏡をのぞきながらそこにあるお白粉を真白に塗り付けた。黛で眉と生え際を塗った。お神さんの着物を着て帯を締めた。次にスキ毛を頭に載せて手拭いを冠った。女中の下駄を穿いて裏口へ出てあとをピッタリと締めた。
三平は風呂場の裏にまわって積んである煉瓦を一ツ取り上げた。そこに干してある越中褌で包んで紐でグルグル巻きにして袖の間に抱え込んだ。材木の間を通って最前の男と女が話していた処へ来てシャガンだ。ギョロリギョロリと見まわした。
最前の質屋の娘が来かかったが三平の姿をすかして見ると急に物蔭に隠れた。
――6――
質屋の娘が隠れたのと反対の方から鳥打にインバネスを着た男が近付いて来た。暗をすかして三平を見ると近寄った。