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こくびゃくストーリー

黒白ストーリー

杉山 萠円

「黒白」1925(大正14)年5月号~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,356 字 · 42 页

青空文庫

――17――

徳市は神妙に手を振った。

憲作は笑って一杯干した。二杯目を注ごうとする時フト階下の方に耳を傾けた。コップと酒を隅に片付けて窓の破れから外をのぞいた。急いで引返して来て徳市の耳に何事か囁やきつつ札の束を仕舞った。

徳市はワナワナ顫え出した。

憲作は徳市の手を引いて立ち上った。

数名の警官が乱入した。

憲作はピストルを放った。

警官が二名倒れた。

憲作と徳市は屋根から逃れ去った。

――17――

徳市と万平(憲作)は自動車で星野家を訪れた。

智恵子母子は喜んで出迎えた。

徳市は応接間で智恵子と話した。

万平と時子は智恵子の父の肖像を掲げた書斎で相談をした。

時子はやがて手提金庫から株券の束を出して万平の前に置いた。

万平は株券を調べた。満足の笑みを浮かめた。懐中から札の束を出して机の上に置いた。

お望み通りの価格で……

唯今頂戴致しましょう……

時子は深く感謝してうなずいた。

万平は株券と札の束を取り換えた。株券を手提鞄の底深く仕舞った。

時子は手先をすこし震わしながら札の束を勘定し終って叮嚀にお辞儀をした。手提金庫に仕舞った。

憲作は帽子と外套を取って立ち上った。