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こくびゃくストーリー

黒白ストーリー

杉山 萠円

「黒白」1925(大正14)年5月号~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,356 字 · 42 页

青空文庫

――4――

――5――

――4――

翌朝武丸は質素な身なりを整えて来た。

養策はその眼を診察して「これは梅毒から来たものだ。家伝の秘法にかけたら治るかも知れぬから毎日通ってみろ」と云った。

武丸は喜び且つ感謝した。そうして「どなたか存じませぬがお宅においでになる尺八のお好きな方に、お礼のため、毎日尺八を一曲宛吹いてお聴かせ申したい」と云った。

養策は苦笑した。「実は自分の亡くなった妻が好きだったので尺八を吹くものが来ると引き止める事にしているのだ」と胡麻化した。

「それではその御霊前で吹かして頂けますまいか」と思い込んだ体で武丸が云うので養策はしかたなしに武丸を仏間に案内した。

武丸はそれから毎日診察に来る度毎に仏前に来て、名曲や難曲を一つ宛吹いて行った。

音絵は毎日蔭から聴き惚れていた。その中に心の奥底まで武丸の妙技に魅入られて来た。

――5――

大学生の赤島哲也は遊蕩三昧をするようになった。

以前、赤島家の書生であった警察署長の津留木万吾は忠義立てに哲也を捕まえて手強く諫言すると「音絵を貰ってくれぬから自暴糞になったんだ」という返事であった。

津留木は飲み込んで父の鉄平にこの旨を談判した。