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いちしょうにんとして

一商人として

相馬 愛蔵

――所信と体験――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,895 字 · 222 页

青空文庫

売上げに対する家賃の程度

よく売れていた店が広く堂々と改造され、面目一新してしかもにわかにさびれる例は、世間にあまりに多いのである。

なおまたこれを店員全体の連絡の上からみても、好ましくない結果が想像されるのである。これまで中村屋では毎年二十名ないし三十名の新店員を迎えて来たが、これを十年二十年と続けて行ったならば、その多数の者の将来に対し、果たしてよく教育しまた遺憾なく指導することが出来るであろうか。現在だけの人数でさえ、その個々の人物性格を詳しく知ることは困難で、主人として欠くることの多いのを、その父兄に対し当人に対し申し訳なく思うているのに、さらに大勢となってはしらずしらず不行届き不親切となるのを免れまい。また多額の負債を負うて経営に無理が出来れば、その待遇を次第に改善していくことも難かしくなるわけではないか。

以上、自分が改造を望まぬ所以の大体を述べたが、なお細部にわたっては改めて語ることにしよう。

売上げに対する家賃の程度

商売と家賃の関係について考えて見る。

商売をするには適当な場所を必要とし、その場所を得るためには相当の資金が要る。私のいう家賃とは、この場所を手に入れまたそれを維持するための費用であって、必ずしも家主に払う家賃に限るわけではない。