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いちしょうにんとして

一商人として

相馬 愛蔵

――所信と体験――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,895 字 · 222 页

青空文庫

昔は四月八日には仏教を信じると信じないとにかかわらず、日本中至るところで釈尊の誕生を祭りました。これはもう仏教徒だけの仕事でなく、一般に普遍して民衆的行事の一つとなっていたのです。ちょうどクリスチャンでなくとも十二月二十五日にはサンタクロースやツリーを飾り、綺麗なデコレーションを施し、これが暮の街のショーウィンドーの王座を占めるようになったと同じであります。そしてこのクリスト教とともに欧米の文化を取り入れ、それに心酔するようになってから、我々はいつとはなしに釈尊降誕の日を忘れ、クリスマスにばかり力を入れるようになり、まことに遺憾なことであります。ことに東京でこの傾向が甚だしいのです。

そこで私は今一度お釈迦様の誕生日を思い出し、全国に釈迦降誕会の行事を復活させたいと思い、昭和三年初めて降誕会を兼ねて、我が中村屋で花祭りをすることにしたのです。そして幼い頃の釈迦だんごを思い出し、さらに新しい工夫を加えて、現在行われている釈迦だんごを作り、中村屋考案の供物としました。ボース氏の母国印度で行われる「シガラ」「パイエス」等も新製して供物とし、おとくいにも提供することになりました。