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いちしょうにんとして

一商人として

相馬 愛蔵

――所信と体験――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 114,895 字 · 222 页

青空文庫

中にも、米国の工場における八時間は、機械が主になっていて、人は機械に従い、機械につれて速力的に働かねばならぬのであるから、自主的の労働と大いに趣きを異にし、常に緊張そのものであらねばならない。そうして彼方ではこの緊張した労働の限度を八時間としているのであって、日本のまだそれほどに機械化しておらぬ我々商店の労働をこれに較べると、彼の八時間はこれの十二時間とほぼ匹敵するであろう。それゆえ一週に一日くらいは大いに緊張して平日の五割増くらいの仕事をするのに困難はなく、したがって翌日の仕事にたいして影響するほどのこともない。それゆえ臨時の仕事を引き受ける場合は平日の五割増程度に止め、それ以上欲張ることは慎しまねばならない。

ゆえに能率が平均して向上するのでなければ、店の売上げが全体的には増加しても、最高最低の差が甚だしくては経済的にはかえって安心出来ないのであって、高低の差の少ないことが最も望ましい。理想としては売上げが毎日平均し、したがって店員の働きも平均されるのをもって上々とする。しかし商売はお客様次第、こちらでどんなに平均しようと望んでも、売れる日と売れない日があり、平均の成績は望むべくしてじつはとうてい得られるものでないが、せめて平日を基準として最高五割増、最低三分の二を下らぬよう経営の安全を計るべきである