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ごじゅうのとう

五重塔

幸田 露伴

「国会新聞」1891(明治24)年11月~1892(明治25)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 57,316 字 · 111 页

青空文庫

のか、定めしもう聴いたであろうが清吉めがつまらぬことをしでかしての、それゆえちょっと話があって来たが、むむそうか、もう十兵衛がところへ行ったと、ハハハ、敏捷い敏捷い、さすがに源太だわ、我の思案より先に身体がとっくに動いて居るなぞは頼もしい、なあにお吉心配することはない、十兵衛と御上人様に源太が謝罪をしてな、自分の示しが足らなかったで手下の奴がとんだ心得違いをしました。幾重にも勘弁して下されと三ツ四ツ頭を下げれば済んでしまうことだわ、案じ過しはいらぬもの、それでも先方がぐずぐずいえば正面に源太が喧嘩を買って破裂の始末をつければよいさ、薄々聴いた噂では十兵衛も耳朶の一ツや半分斫り奪られても恨まれぬはず、随分清吉の軽躁行為もちょいとおかしないい洒落か知れぬ、ハハハ、しかし憫然に我の拳固を大分食ってうんうん苦しがって居るばかりか、十兵衛を殺した後はどう始末が着くと我に云われてようやく悟ったかして、ああ悪かった、逸り過ぎた間違ったことをした、親方に頭を下げさするようなことをしたかああ済まないと、自分の身体の痛いのより後悔にぼろぼろ涙をこぼしている