轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ぼうれいホテル

亡霊ホテル

山本 周五郎

「新少年」1937(昭和12)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,706 字 · 20 页

青空文庫

然し――ゆうべこのホテルへ着いた時、ロビイで妹の友達にみつかったそうで、それで妹が」

「否々、僕はそれを責めているんじゃない、寧ろ妹さんの行方不明になった事が、僕のためには重大な役に立った事を感謝したいくらいなんだ」

「――と、仰有いますと」

「妹さんは必ず無事に帰るよ」

博士の言葉は伊藤青年を愕かした。

「それは本当ですか、先生」

「科学者は根拠の無い事は言わんさ、――だから安心して僕のする事を見てい給え」

博士はそう云って時計を見た。

「まだ九時前だね。宜しい、――君はお家へ電話をかけて、妹さんは此方へ泊ることになったと知らせてあげるんだ。お母さんに心配をかけると不可んからな、それが済んだら暢くり寝て宜しい」

「それで妹の事は……?」

「僕が引受けたと云っているじゃないか、それより君は亡霊に喰われぬ要心でもするが宜い。――じゃあお寝み」

何か仔細ありげな博士の様子を見て、伊藤青年は兎も角云われた通り自分の部屋へ戻った。

母に偽りの電話をかけて置いて、寝台へあがったが中々眠れる筈はない。――妹は一体どうしたのか、どんな変事があったのか、それも何より気懸りであるし、又ゆうべ聞いた向うの部屋の亡霊の声も妙に頭へひっ掛って来る。