轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いだいなるゆめ
偉大なる夢
江戸川 乱歩
「日の出」新潮社、1943(昭和18)年11月~1944(昭和19)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 117,988 字 · 234 页
少佐はそこでプッツリと言葉を切って、二人の顔を意味ありげにじっと眺めるのであった。
京子は真青になって、その目は少佐の口辺に釘着けになっていた。ソヨともせぬ冷たい空気が液体のように三人を圧えつけ、三人は生人形のように身動きもしなかった。
暫くたって望月少佐が低い声でゆっくりと話しはじめた。
「わたしは昔話をしなければならない。今から七八十年前の昔話です。しかもそれはどんな記録にも残っていない、歴史の裏のささやかな事実です。ささやかな併し途方もない事実です。
わたしはその途方もない事実を、ここ二ヶ月余の間に、非常な苦労をして調べ上げた。殆んどあるかなきかの目にも見えない細い糸を辿って、七十年の国際的罪悪史を研究した。敵国の大秘密です。想像を絶する恐るべき陰謀です。
嘉永六年浦賀に来航したペリーは、日本の眠りを醒ましてくれた恩人だから、銅像を建てなければいけないということを唱えたものがあったが、実に滑稽な話ですね。彼は二度目に浦賀へ来る前、小笠原島を占領したという事実がある。そしてそこをコッフィン島などと名づけて米人を上陸定住せしめたのです。彼はその外琉球その他日本近海の島々を悉く武力占領することを、時の大統領フィルモアに建言している。