轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いだいなるゆめ

偉大なる夢

江戸川 乱歩

「日の出」新潮社、1943(昭和18)年11月~1944(昭和19)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 117,988 字 · 234 页

青空文庫

という見出しのあるものは、棚の中で一きわ目立つ圧迫的な書類であった。

彼は日本の経済力、生産力を軽蔑していた。自国の国民性に引比べて、日本人もその点で間もなく音をあげるものと思い込んでいた。ところが、最近、各方面から集まって来る秘密情報は、彼のこの確信をぐらつかせるようなものばかりである。経済力の薄弱は、日本国民の奥底の知れぬ忠誠心と忍耐力によって、十二分におぎない得るのではないかという不安が、万事に楽観的な彼の心の隅にも、不吉な黒雲となってモクモクと湧き上っていた。

しかし、それよりももっと恐ろしいのは、日本の持つ人間の量と質の問題であった。彼の国では国民の動員が殆んどその極限に達しているのに、日本では二十歳以下の青年は、まだ軍隊に召集されていない。「あの小さな島の中に、十七歳から二十歳までの若者が、全く手つかずのまま、ウジャウジャと無数に待機しているのですぞ」というのがマーシャル参謀総長の口癖であった。その声が今、脅かすように彼の耳朶を打っているのである。

その量よりも質の点に至っては、更に不気味であった。日本人は欧米人の科学では割り切れない何か神秘な力を持っているように思われた。