轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いだいなるゆめ

偉大なる夢

江戸川 乱歩

「日の出」新潮社、1943(昭和18)年11月~1944(昭和19)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 117,988 字 · 234 页

青空文庫

大統領はポケットから大きなパイプを取出し、煙草をつめライターの火を点じた。それを銜えてスパスパやりながら、両手を肘掛けに突張って、不自由な身体を起すと、ヨチヨチと窓際まで歩いて行き、厚いカーテンの合せ目をソッとかきわけて、真暗な庭の芝生を見おろした。

市中の燈火管制は、対外宣伝の意味もあって、この頃ややゆるめられているが、白堊館のまわりは殆んど空襲管制に近い暗さであった。庭のところどころに燐光燈が薄ボンヤリと光っている外は、墨を流したような一面の闇である。目がなれるに従って、その闇の中に闇よりも黒いものが、あちこちに蠢いているのが見分けられる。大統領の身辺を遠巻きにする護衛兵達だ。

ルーズベルトはパイプを銜えたまま、チェッと舌打ちをした。何だか大犯罪者が警官隊に取り囲まれてでもいるような、不愉快な錯覚を感じたからである。廊下には拳闘選手が口をへの字に曲げて立っている。階段にも下の廊下にも数え切れない程の護衛がいる。しかも、今待ち受けている相手というのが、軍の機密局長である。明けっぱなしな大統領は、そういう圧えつけられるような雰囲気が大嫌いであった。