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いだいなるゆめ

偉大なる夢

江戸川 乱歩

「日の出」新潮社、1943(昭和18)年11月~1944(昭和19)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 117,988 字 · 234 页

青空文庫

「で、その玩具で何をしようというのですか」

三好曹長は平然と訊ねた。彼は多年の錬磨によって、飛道具等には驚かぬ度胸を持っていた。

「御覧なさい、こうするのです」

韮崎は叫ぶように云って、放射器を構え、カチッと引金を引いた。筒口から一直線の白煙がほとばしったかと思うと、その尖端が恐ろしい焔となって的に吹きつけた。的はルーズベルトの半身像であった。

ガラスのない写真像は、忽ち焔に包まれ、金色の額縁諸共メラメラと燃えはじめた。

「分りましたか、大統領の火刑です。私はこれと同じ引伸し写真を何枚も作りました。むろん自分でやるのです。そして額縁に入れては、三日に一度、五日に一度、火焔放射器の性能試験をしているのです。分りましたか。どうです。分りましたか。ワハハハハハハハ」

韮崎は燃えさかる額縁を眺めて狂気のように笑うのであった。

「ワハハハハハハハ」今度は、三好曹長の口から爆笑がほとばしった。

「お芝居はもうたくさんです。サア一緒に行きましょう。君にはまだいろいろ聞きたいことがあるのです」

「一緒に。どこへです」

「憲兵隊へです」

二人は卓をはさんで立ちはだかっていた。