轻松读懂日语经典作品
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ぼんじんでん
凡人伝
佐々木 邦
「雄辯」大日本雄辯會講談社、1929(昭和4)年4月号~1930(昭和5)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,944 字 · 202 页
若河原老河原
「君だってソロ/\地盤が固まるんだろう?」
「この通り未だ前垂がけだよ」
「僕達見たいに月給を当てにするよりも自家営業の方が有望だよ。腕次第で何うにでもなるじゃないか?」
と私は口先で励ましたものゝ、肚の中はアベコベだった。人間は四十五円以上の月給を取らなければコンマ以下だと確に意識していた。
「仕方がない」
「失望しちゃ駄目だぜ」
「うむ」
「大いにやり給えよ。あゝ、もう出る」
「さよなら。君も達者で」
と赤羽君は慌てゝ一二歩下った。矢っ張り愚なるが如き容貌をしていると思った。爾来二十有余年、私は現在この男の屋敷へ家庭教師に伺候して、月給の足し前を取っている。考えて見ると汗顔の至りだ。人間の運命というものは迚も端倪出来ない。
若河原老河原
新任地は九州の○○市、中学校も県で錚々たるものだった。無名で置くのも具合が悪いから、県立中学校錚々館と仮に名をつける。同僚が三十名からいて、私が一番年若だった。
「先生」
と年長者から呼ばれるに恐縮した。尤も、
「先生はお幾つですか?」
と訊かれる度に、
「二十四です」
と答えて、一種の得意を感じた。
「お若いですな」
と皆褒めてくれた。