轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ぼんじんでん

凡人伝

佐々木 邦

「雄辯」大日本雄辯會講談社、1929(昭和4)年4月号~1930(昭和5)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,944 字 · 202 页

青空文庫

未だ絵葉書のない時代だった。

「まるで西洋ですね」

「ミッション・スクールですから、西洋の学校をそのまゝ持って来たのです」

「成程。立派なものですな。これがその富士山の見える五階ですか?」

「はあ。地下室がありますから、実は六階になります」

「地下室って何ですか?」

「地面の中の部屋です」

「はゝあ」

と私は寄宿舎の建物に見入った。当時○○町の西洋館は警察署丈けだった。白塗りで、金の菊の紋がついていて、厳めしいものだったが、木造の二階建に過ぎなかった。三階は料理屋に初めて一軒出来たばかりで、人呼んで単に「三階」と称した。私は「三階」の前を通る度毎に、実に立派な家だと思って見上げるのが常だった。富士山の麓に生れた所為か、私達には高いものに敬意を表する本能があった。此方の火の見櫓の方が一間ばかり高いというので、隣村の子供を馬鹿にしていた。しかし隣村は平気だった。おらは坂上だから、手前達よりも地面が高いと言った。

「ジョンソン博士という人が総理です」

と占部さんは建物から人物に移った。

「総理大臣ですか?」

「いや、学園の総理です。校長です。豪い人ですよ」

「博士なら大したものでしょう」