轻松读懂日语经典作品
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ぼんじんでん
凡人伝
佐々木 邦
「雄辯」大日本雄辯會講談社、1929(昭和4)年4月号~1930(昭和5)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,944 字 · 202 页
「入学志望のことならば、昨今然うした意味の来訪者が多くて困りますから、御面会はお断り申上げます」
と美事玄関払いを食わされた。商売が繁昌すると見識が高くなる。まるでアベコベだ。当時の中学校は腰が低かった。校長が引札を廻すのみならず、書記が近村へ勧誘に出掛けた。目ぼしい家庭を一軒々々訪れて、
「お宅の御令息は今回高等二年修業だそうでお芽出度う存じます。ところで如何でございましょうか?」
とやる。
「何だね? 一体」
「一つ中学校の方へお願い出来ませんでしょうか? 月謝が一円、教科書が二円二十銭。何うぞこの表を御覧下さいまし」
「一円の月謝! 滅法界もない」
と百姓は勘定高い。小学校の月謝は尋常が五銭、高等が八銭だった。
「その代り御卒業になれば、志願兵の資格が出来ますから、三年の徴兵が一年で済みます」
「成程」
「大学へも入れますし、十円やそこらの月給は楽に取れます。これからの社会へ出るには何うしても学問でございます。一体本県中等学校の数は他県に比しまして……」
と書記は教えられた通り中等教育急務論を始める。しかし相手は尋常丈けで沢山なのを、村長さんや校長さんに煽てられて、高等科丈け余計なことをしたと思っているから、