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ぼんじんでん
凡人伝
佐々木 邦
「雄辯」大日本雄辯會講談社、1929(昭和4)年4月号~1930(昭和5)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,944 字 · 202 页
「駄目でがんす」
と言って、受けつけない。
「まあ/\、教育の利益をお考え下すって……」
「駄目でがん!」
「他所へ出して寄宿へ入れた時代は兎に角、つい目と鼻の間に出来て家から通えるのでございますから……」
「駄目でがんと言っているにこの人は分らない人だな」
「飛んだお邪魔を申上げました」
と書記はもう仕方がない。この上勧めると、鍬で撲される。
現今のように入りたがるのを入れないのではない。入れたがるのに入らないのだった。これによってこれを見るに、日本の中等教育も長足の進歩を遂げたものである。兎に角、こんな具合に入学志望者が払底だったから、高等卒業のものは直ぐに二年級へ編入された。私と助役の息子の安井君がこの特典を利用した。他に地主の権藤の長男が一年級へ入った。
「権藤さんや安井さんはお金があるから何をしようと構わないが、河原のところは一体何ういう料簡だろう?」
と村の人達が疑問を起した。
「高が小学校長じゃないか? 幾ら月給を取ると思う?」
「身分不相応のことをしたものだ」
「学校の月謝をちょろまかしているんじゃなかろうか?」
「河原校長はこの頃町の耶蘇と往来をしている。