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ぼんじんでん

凡人伝

佐々木 邦

「雄辯」大日本雄辯會講談社、1929(昭和4)年4月号~1930(昭和5)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,944 字 · 202 页

青空文庫

あれぐらいのことは何処の校長でも言う」

「帰れなんて失敬だ」

「校長は皆あゝ言うのさ。脅かしだよ。親の勘当も同じことさ。本気にする奴があるものか」

「…………」

「見給え。君が立ったら、直ぐ止めたじゃないか?」

「まあ、考えさせてくれ」

と野崎君は腕を組んだ。

「生徒の尠いのが厭か?」

「…………」

「尠い方が宜いんだぞ」

「何故?」

「五十人いれば、先生の教えることが五十分の一しか覚えられない。九人なら九分の一覚えられる」

「そんな勘定はないよ」

「無論譬えさ。級が小さければ、先生の目が届くから怠けられない。自然勉強する」

「苦しいぞ」

「楽に勉強しようって料簡が間違っている」

「洒落たことを言うな」

「英語の力さえつけば高商も同じことだ。決心しろよ」

「さあ」

「僕はこの学校が気に入った。見込がある」

「しかし生徒が毎年一人宛死ぬんだぞ」

「僕達は大丈夫だ。信者が死ぬんだ」

「兎に角、今夜一晩待ってくれ」

「借金取りに会ったようなことを言うなよ」

「僕は寝て起きると決心がつく」

「散歩に行こう。もっと話して聞かせる」

と赤羽君は一生懸命だった。

級友諸賢

「神さま。私はカナンの国に着きました」