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じごくのししゃ
地獄の使者
海野 十三
「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 页
袋小路
と、帆村は丁重に礼をいった。
検事は真面目な顔で肯いた。それから主任警部の大寺にいった。
「このピストルをすぐ鑑識の人に調べて貰って呉れたまえ。指紋と、弾丸にどんな条跡を与えるか写真に撮ることを、すぐに頼む。十五分もあれば分るだろう。その間われわれはちょっと休憩をしようじゃないか。お茶は呑めないだろうからね」
袋小路
休憩時間が過ぎると、几帳面な検事は、早速取調べの続行を宣した。
「ピストルの指紋はどうだったね」
検事の声に、鑑識課員が立って来て、
「指紋は一つもついていません。手袋をはめて使ったんでしょうね」
と応えた。
「ああ、そうか」
検事は格別失望の色も見せなかった。そして鑑識課員から、ピストルの条跡の拡大写真を二三枚うけとった。
「このピストルは誰のものかね。それから調べて行きたい。まず家政婦の小林をここへ……」
検事の命令で、小林トメは襟元を合わせながら広間へ入って来た。そして設けの椅子の上に、はちきれるようなお臀を据えた。彼女の目は、わざと検事がすぐ目の前の卓上に置いたピストルに注がれて、一瞬はっと胸をすくめたが、間もなく元に戻った。
「このピストルに見覚えはないですか」