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へいわじぎょうのしょうらい
平和事業の将来
大隈 重信
大日本平和協会会長推戴式での演説、1910(明治43)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,320 字 · 23 页
〔善意の圧迫〕
それ故、平和ということには、甚だ疑いがあるのである。今御話ししたような訳のものであれば、始終復讐ということが、起って来るのである。いわゆる圧力を加えれば反動が起る。アクションに対するリアクションは物理的の原則である。白人の圧力に対する黄色人の反動、黄色人の与えたるアクションに対する白人の反動。これを何時までも繰返しておったならば、世界の人類は消滅してしまう、こういうことになって来る。これでは困るから、どうかこの争いを止めることを企てようという説が、この一世紀間に大分現われて来た。初めて現われた時は欧羅巴だけであったのである。これはなかなか人間一世や二世の事業ではない。我輩が幾ら長生きをするというても、なかなか我輩の一世ではつきそうもないのである(拍手)。
〔善意の圧迫〕
そこで我輩の考えるのに、戦いの人類に惨毒を流すことは、ほとんど我輩の口を藉って述ぶるの必要がないのである。しかしながら、一たび戦いに負けて亡国の民なんというものほど、憫むべき者はない。我が国は三千年以来、亡国の民となったことはないから、先祖以来亡国の民ということは知らぬが、他の国には歴史がある。