轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
「日の出」新潮社、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 151,280 字 · 301 页
一人は一方の目に大きな眼帯を当てた、無精鬚の大男、一人は黒眼鏡をかけた、痩せっぽちの小男だ。その二人が、小型ピストルを構えて、じっと川手氏に狙いを定めているのだ。
「ハハハハハ、これでも逃げられるというのか。身動きでもして見ろ、貴様の心臓に穴があくぞ」
大男の方が、今度はハッキリした声で、さも愉快らしく怒鳴った。
川手氏は、あくまで用意周到な相手に、最早や観念の眼を閉じる外はなかった。
「で、君達は俺をどうしようっていうのだ」
すると、大男は左手を上げて、静かに地下室の隅を指さした。オオ、そこには、あの薄気味悪い棺桶が、主待ち顔に置かれてあるのだ。
「君はこの中へ入るのさ。ちゃんと君の名が書いてあるじゃないか。川手、君はこれまでに、生きながらの埋葬という事を想像して見たことがあるかね。ハハハハハ、ないと見えるね。それじゃ一つ味わって見るがいい。君はこの棺の中に入って、生きながら土の底深く埋められるのだ」
云い放って、二人の男はお互に顔見合せ、さもおかしくて堪まらぬというように、腹を抱えて、ゲラゲラと笑い出すのであった。
川手氏は立っている力もない程の烈しい恐怖に襲われた。