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あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
「日の出」新潮社、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 151,280 字 · 301 页
妙な嗄れ声で笑っているのだ。どこかにラウド・スピーカーがあって、遠くから声を聞かせているのに違いない。
それが木戸番の云った証拠の紙札であることは、すぐに分ったが、気の弱いものは、黒暗々の中で、骸骨の手からそれを受取る勇気がなくて、逃げ出してしまうかも知れない。謂わばこれが第一の関所であった。
博士と小池助手とは、無論怖がるようなことはなく、一枚ずつそれを受け取って、さらに前方への手さぐり足さぐりをはじめた。
それから少し行くと正面の壁に突き当った。右にも左にも道はない。行き止りになっているのだ。
「変だね、あとへ戻るのかしら」
「その辺に、又戸があるんじゃないでしょうか。やっぱり黒い板塀のようじゃありませんか」
「そうかも知れない」
博士は正面の板をしきりとなで廻していたが、間もなく、
「アア、あった、あった。ドアになっているんだよ。押せば開くんだ」
と呟きながら、そのドアを押して中へ入って行った。その拍子に、何かしらマグネシュウムでも焚いたような、ギラギラした光線が、パッと小池助手の目をくらませたが、それも一瞬で、ドアはバネ仕掛けのように、彼の鼻先にピッタリ閉されてしまった。