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せいじがくにゅうもん

政治学入門

矢部 貞治

「政治学入門」アテネ新書、弘文堂、1951(昭和26)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,607 字 · 96 页

青空文庫

序言

一九五一年一月矢部貞治

序言

すべて学問を論ずる場合には、認識の対象と方法を規定する方法論というものについて述べなければならないが、実際に学問をする場合正しい方法論は、その現象の実体を研究する道程の中から生れてくるもので、現象の実体も知らずに方法論に拘泥するのは、研究者が往々にして陥る邪道である。正しい方法論を求めることは、いつも念頭においていなければならぬが、しかしまず現象そのものの実体と取組むことが、とりわけ初めてその学問に志す者の正道である。だから本書では、方法論については取り立てて述べない。論述を進めてゆく間に、おのずからそれに触れるところがある。ここではただ政治学に接する場合の心構えについて、一言しておきたい。

政治学は、いうまでもなく文化科学の一つであって、自然科学ではない。自然科学の基礎になっている自然法則というものは、概して永久不変性と普遍妥当性を持つ正確な法則で、自然科学は、真に科学の名に値する厳密な科学ということができるが、文化科学の基礎にある文化法則は、それとは著しく性質を異にしている。文化現象は人間の精神、意思、叡知、主体性、創造性、感情、習慣、性格、欲望など複雑な要素を含んで成立するものであって、従って文化法則というものは、正確な法則というより、むしろせいぜい類型とか傾向とかいう