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せいじがくにゅうもん

政治学入門

矢部 貞治

「政治学入門」アテネ新書、弘文堂、1951(昭和26)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,607 字 · 96 页

青空文庫

4 国家を否定する説

そのようにいうのは、実は無政府主義を基礎づけようとする理論なのである。原始社会の統制形態についても、支配者が母であったとする説、種族の父であったという説、あるいは僧侶や呪術師であったという説などいろいろあるが、それらの仮説がどうであれ、要するに国家の起源は、これを人間の共同生活そのものの、内的な必要に求めるのが正しいといわねばならぬ。

4 国家を否定する説

右のような国家の起源論は、実は前にいうような意味で、国家の本質をどう見るかという問題に関連しているのである。国家成立の要因を征服にあるとしたり、階級的搾取にあるとするのは、国家の本質を階級的な抑圧または搾取の手段だというためであり、従ってまたそのような要因がなくなれば、国家も死滅するのだということになる。国家の起源を征服に求めるオッペンハイマーや、階級的搾取関係の発生に求めるマルクス=エンゲルスの立場は、正にそれを示している。これに対して国家成立の要因を、人間の共同生活の内的必要にあるとみる立場では、国家の性格はいろいろに変化するとしても、人間の共同生活が存在する限り、国家そのものが消滅することは認められないのである。