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せいじがくにゅうもん
政治学入門
矢部 貞治
「政治学入門」アテネ新書、弘文堂、1951(昭和26)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,607 字 · 96 页
ブルジョアとプロレタリアの絶対的宿命的な闘争を説くマルクス=レーニン主義はその最も尖鋭なものだが、僧侶や貴族などの中世的等族の支配を主張するシュペングラーのごときも、その一例である。古代や中世の政治闘争は、すべてが宗教闘争の姿で行われたこともあるし、人類の歴史を動かす第一義の要因を種族闘争に見出すものは、グムプロヴィッツやラッツェンホーファーなどから、ゴビノーやヒットラーに至るまで決して少なくない。
これらの要因が政治闘争において有する重要さは決して無視できないが、しかしこれらの一つや二つの要因だけが絶対的で、他はこれに従属するというようにいうことは、必ずしも正しくない。社会内の対立、分化、相剋、抗争の要因はもっともっと複雑で多元的である。これを余り早急に公式論化してしもうことは、科学的とはいえない。ただしかし現代において政治闘争の舞台に上ってくる場合、階級と民族が一番重要性を持つということは、これもまた否定できない。そしてそれらの要因を組織化して政治闘争の主体となるものが政党である。個人的、門閥的、思想的、宗教的、地域的、経済的などの諸要因は、多くはそのままの形ではなく、階級、民族、政党の中に統合され組織化されて働くことになるのである。