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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
04 第四分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 页
竹中久作は、兄の半兵衛重治が木下家に随身後、召し出されて、共に藤吉郎に仕えていた者である。
半兵衛より四つ年下の好青年で、兄は病弱だが、彼は健康そのものだった。
こんどの合戦にも、
(残念だなあ。なぜ木下軍は、お味方の後詰などに廻されたのか。信長様に従いて先鋒を承っているならば、浅井家第一の豪傑といわれている敵の遠藤喜左衛門の首は、必ず俺の物なのに)
と、髀肉を嘆じて、兄にも人にも洩らしているほど、武勇にかけても、人に負れぬ自信はあった。
その久作が、数日前に、
(その方が参って、火急、岐阜表から於ゆうを召し連れて来い)
と、主君に命じられたので、主君の命とはいいながら、
(何だって、女などを、陣中まで!)
と、憤懣にたえない顔して、渋々使いに赴いたものである。――於ゆうは自分の妹であるが、いつのまにか主君の寵をうけていることを知っているだけに、なおさら、腹立たしかったし、戦友に間が悪かった。
――今。
その於ゆうをつれて、ようやく、炎天の旅から帰って来た久作は、営中へかかると、兄上は? と、居所を兵にたずねて、兄半兵衛の休息している幕の外から、
「兄上、兄上ッ。