轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

04 第四分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 页

青空文庫

楽しみここにあり

楽しみここにあり

春の曙――。

湖水はほのかに、暁の紅をうつしてはいたが、まだ所々、かすみが深い、山は暗い。

「お目ざめ。――お目ざめですぞ。――お目ざめになられましたぞ」

まだ白壁も真新しい長浜の城内では、はやくも、この有明けを燈し灯がうごき出している。

いま。

秀吉の寝室の次から、宿直の部屋や小姓部屋へ、いちいち声をかけながら、大廊下を表まで触れて行ったのは、ゆうべ寝ずの番にあたっていた堀尾茂助だった。

諸所の部屋部屋で、

「おはやいなあ」

「それッ」

と、起き出る気配がいちどにうごく。

虎之助も、起きていた。

七歳の時、手をひかれて、初めて洲股の城へ母と共に頼ってゆき、小姓として仕えてから九年、虎之助ももう十五になっていた。

ちか頃では、先輩の市松にも、なかなか負けてはいなかった。福島市松はすでに二十歳をこえていたが、今も、

「於市どの。おいッ、於市どのッてば。――殿さまがもうお目ざめだぞ」

と、年下の彼に起されていた。

市松は、むっくり身を起したが、春眠暁ヲ覚エズ――といったように、渋そうな眼をこすりながら、

「まだ暗いではないか。雀みたいに、夜さえ明けると、よく躁ぐやつだ。