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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
04 第四分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 页
さむらい集い
いや、それこそ、とんだ茶の湯になるところでしたな。ははは」
さむらい集い
ぽつねんと、藤吉郎はただひとり置かれていた。
五十畳もある広間である。
ここに通されて、藤掛三河守から、しばしお待ちを――といわれてからもう一刻半もたっている。
「……長いなあ」
退屈をおぼえざるを得ない。ひと気もない大広間の格天井には、もう夕暮のかげが濃い。
ここの内は燈火も欲しい暗さなのに、外を見やると、城外の遠い山肌に、かッと、晩秋の落日が、茜色に刎ねかえっていた。
彼のまえにある高脚の菓子の器には、菓子はひとつもなくなって紙だけが残っていた。
ようやく、人の跫音がした。
茶碗をさげに来た茶道衆の者である。
「籠城中のこととて、何もございませぬが、夜食をさしあげよとの、殿のおことばでございますれば、ただ今、粗膳をさしあげまする」
茶道衆は、客をなぐさめて、二ヵ所ほどに、燭をおいた。
「あいや、こういう中、夜食の御斟酌などにはおよばん。それよりも、藤掛三河どのにお顔を拝借したいと、憚りながら、これへお呼びください」
「かしこまりました」
茶道衆が立ち去るとすぐ、三河守が奥からすがたを見せた。