轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

04 第四分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 页

青空文庫

「曲者を探し出せ」

と、騒ぎ立てた。

信長は、鉄砲の音にも気づかなかったのだろうか、もう半町も先へ駈け越している。

彼方から大声で、家臣たちを振り向きながら呼んでいた。

「捨ておけ、捨ておけ」

主君の一騎のみ遥かに先へ立ってしまったので、ぜひなく下手人を打捨てて、人々の馬群れはまた急ぎだした。

池田勝三郎、蜂屋兵庫、木下藤吉郎などが追いついて、

「殿、殿、どこもお怪我は?」

訊ね合うと、信長はやや駒を緩めながら、片手の袖を高く翳して示しながら、

「命は天にある――」

と、いった。

小さい弾痕の穴がその袖を貫いていた。

後に判明したことであるが、その折、大樹の梢から信長を狙撃した下手人は、伊勢朝熊山の円通寺の法師で、百発百中といわれる鉄砲の名手だったという。

――命は天にある!

しかし信長は、その言葉を消極的には持たない。命を天に待って安閑としてはいない。

信長は知っている。――いかに今、自分の身が、天下の群雄から、嫉視され羨望されているかをである。

尾張二郡の小城から、尾濃二州へ羽翼をのばしたくらいでは、まだ世間は、多分に多寡をくくっていたであろう。

だが、中原に出て、令を京都から発したとなると、俄然、天下の諸豪は、心穏やかでないにきまっている。